ライフハック・フィロソフィー

-「よい生き方」をみんなで考えるブログ-

なぜAIと暮らす時代には哲学が必要なのか?

 

大学で哲学を専攻していた頃、次のような質問を受けていました。

 

「哲学は何の役に立つの?」

「仕事はどうするの?」

 

正直に言って哲学を専攻したのはただただ楽しいからです。

 

「前提を疑い俯瞰で物事を考え、要点を抽象化すること」

 

ディスカッションや論文でこれを成し遂げた時の快感が良いのです。

 

今の時代大半の学生が就職のために大学にいっていると言っても

過言ではないでしょう。つまり実際に役に立つ学問(果たしてそれはどういうものかという考えもあるけれど)とは呼べない「哲学」は世間から評価はされにくいと感じます。

しかし私は古い学問、浮世の学問とされる哲学の価値がテクノロジーの発達とともに向上していくと考えています。

 

以下でそれについて考えていきます。



◆改めてなぜ哲学は必要ないのか?ー商学と哲学のループー

 

人気のない哲学を考えるにあたり、文系学生に人気がある「商学」について考えていきます。商学は人気な学問です。仕事に転用しやすく、社会人として学ぶべき要素が多く含まれているからです。

商学は車でいうとアクセルであり、哲学はハンドリングのようなものと考えています。

1980年代、かつての日本経済が成長している時代であれば商学を学び「どのように事業を拡大するか」という方法論に価値がありました。高度経済成長期はHowを考える時代でした。

時は流れ、日本経済が崩壊をきしてしまいました。たしかな成長がのぞめない日本でどのように事業を拡大するか(Howの力)だけでは企業の成長が見込めません。

 

既存のビジネスが停滞するのなら求められるのは「新しいビジネス」です。

 

新しいビジネスをつくることと哲学する必要があることを知るには

下記書籍がおすすめです。

 

 

 

サービスを使用するのは所詮人間なのです。

人間がどういう存在を知ることは新しいビジネスを生むきっかけになるのです。

 

『チーズはどこへ消えた?』というビジネス本が日本で大ヒットしました。

大きな迷路に放たれたネズミたちが今あるチーズがいつかなくなることを認識し、新しいチーズを探すために歩んでいく様子に保守的な考えをもつ多くの日本人が感銘を受けたのです。

どこかにあるチーズを探す旅に出かける必要があることを私達は気づいているのです。

 

 

チーズはどこへ消えた?
チーズはどこへ消えた?
  • 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 11人 クリック: 153回
  • この商品を含むブログ (235件) を見る
 

 

◆AI時代こそ必要な哲学だ

 

これからの私たちの生活をささえるとされるAI

AI社会で上手に生きていくには哲学が役立つと考えています。

以下一つのニュースをあげて話していきます。

 

https://wired.jp/2018/06/26/china-social-credit/

(中国で浸透する「信用スコア」の活用、その笑えない実態)

 

イギリスではクレジットスコア(金融機関が与信審査で参考にする数値)はクレジットカードやローンの申請の判断にしか使われない。しかし中国では、政府がより広範な「社会信用システム」なるものの構築を進めている。人々を日々の行動などさまざまな基準で採点し、14億人いる中国国民の「信用度」を査定することが最終的なゴールだ。

 

社会にAIを導入し、効率化・社会の透明化していく中国ではAIが正確な判断を下すために「人の行動」にスコアがついているのです。

日本でもクレジットカードの審査業務などで過去の支払い歴や滞納歴が内科などの確認がありますが、私たちの行動が全て情報化、インターネット化が進む中でより行動記録が管理できるようになり

それらを数値化することで生まれるサービスが出来ると考えられます。

 

私たちに信用スコアをつけるには行動に善い行いと悪い行いを

定義する必要がある、つまり哲学が必要になっていくのです。

 

哲学の世界では善い行いを「正義」というテーマをもって考えます。

正しい社会をつくるには、万人を「公平」に扱うことか、それとも

ある種の「善」をはじめに考えそれを求めるよう人々を扱う「美徳」。

 

 

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
 

 

 

正義についての概要と、議論対象のテーマが分かりやすく述べられています。

哲学が堅苦しい学問と考えている方にはぜひおすすめします。



不確かで効率化が求められる時代、今私たちが求められるのは

「私たち人間はどういうものか」と「どう生きるべきか」です。

これを考える学問こそが哲学なのです。